オランダDE妊娠・出産

オランダでりすちゃんを妊娠&出産しました。その時の様子をお伝えします。
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 私のオランダ出産体験記

 はじまりは蕁麻疹!

出産体験は人それぞれで同じ経験はないと思う。。。というわけで、 私の出産記が誰かの役に立つのか?というと疑問だけれど、それでも 。。。妊娠中の人にしてみれば、他人の体験記はけっこう励みに なるものだと思う。私自身がそうだったから。特に「オランダで 出産!」となれば、色んな人に話を聞いても聞き足りないくらいで、 「オランダのほうが(日本での出産より)良かったよ」と聞けば、 ホッとするし、その逆を聞けば不安にもなるし。というわけで、一応、 こんなんでした〜、という出産体験記を書き留めてみましょう。

妊娠期間中、鉄分不足や最後のほうでむくみなどの問題こそあれ、 切迫流産や出血などの目立った問題は一切無かった私。 会社にも一切休むことなく通い、通勤経路の都合で一日1時間くらい は歩いていたくらいだった。特に会社からメトロまでの道のりは お気に入りの道で、疲れているときでもゆっくり「えっさ、ほいさ」 と歩けば気分が落ち着いたし、美しい風景や馬を見ては、ほっと していた気がする。そんな私だが、産休に入り、臨月になるとお腹 が重くなり、体重は最初より12キロ増えてしまった。げ、これでは 日本では失格妊婦だよ〜…と思いつつ、だんだんと家から駅まで 歩く道のりさえも辛く感じるように。そして、出産前1週間には むくみがひどくて靴が履けない、という事態になって、ついに活発に 動くことは断念。家でおとなしくすることになる。そして最後に やってきた!蕁麻疹の恐怖!!

日曜日の午後、なんか腕がちょっと痒い?と、手首を見ると 小さなぷつぷつが。あら、これなんだろう?とあまり気にも しなかったのだが、夜には腕中が痒くなり、寝るのも一苦労と なった。しかし、痒みはこれでは収まらず、次の月曜日にはさらに ヒドイ事態に。まず体がかーっと熱くなって、その位置に痒みが 出現。そしてそれはまるで巡回するように体中を駆け巡り続ける のだ。体を冷やすといいかもしれない、と、寒いのに、Tシャツと 短パン一枚でベッドに横たわりながら、半泣き状態の私はだんなから 見れば相当異常な光景だったかもしれない。彼の妹も実はこういう ホルモンの影響で最後は痒み&肌色変化(紫に)が起こり、1週間 まったく眠れず最後は力尽きて帝王切開になった、という経験が あったので、だんなは心配になって妹に電話してくれた。私も この時点でまだ予定日まで1週間。妹と同じ道を歩むのでは、、、 という絶望的な気分に。この痒みを留めてくれれば、なんでも します!!という気分で夜眠ろうとするが、ダメ。明け方に うつらうつらするだけで、ほとんど眠ることができず半泣き 状態で赤ちゃんに「もうなんでもいいから早く出てきて…」と (日本語で)つぶやく私だった。

 あれ?陣痛かも…?

火曜日の朝。殆んど寝ていなかったが、朝のほうが夕方よりも痒み が収まるようだ。とにかく睡眠時間を少しでも稼いでおかないと 最後には力尽きてしまう、とお気に入りの椅子に座って、古い 雑誌をめくりながら、リラックスするように努める。すると うつらうつらと寝られたようで、少しホッとした気分になった。 なんとなくこの日は、お腹もしょっちゅう張るような気がしたのだが、 痒みのことで頭は一杯で、赤ちゃんの胎動を時々感じながらも、 お腹の張りのことには気も留めず。。。午後1時半に産院に電話し、 痒みのことを伝え、翌日の予約を取り付けて、少しホッとする。 今日はもうご飯なんぞ作っている場合ではない、と、だんな には中華デリバリーを頼むことを告げていたので、午後も 引き続きお気に入りの椅子に座ってリラックスに努める。 だんなも今日はクリスマスツリーを買うから、と余計な 買い物がないのを喜んでいた。

午後もだんだん時間が進んでくると、なんかお腹の張りが今日は 断続的に続くなあ〜?という疑問が。一応、時計を目の前に 置いて、いったいどれくらいの感覚でお腹の張りが起こって いるのだろう?と計ってみることにする。妊娠の本を見ると、 15分間隔、10分間隔…などと書いてあるが、私の場合、15分間隔 のような10分間隔のような?とあんまり一定期間ではないように 思われる。痛みも痒みに比べると全然大したこともなく、 もしかしたら前駆陣痛というもの?それともこれが陣痛の始まり なのかしら??と、うーん…と考えてしまうくらい。それでも、 もしかしたら陣痛かも!そうだとしたらこの痒みとはおさらば できるのかも!!と希望を持って、時計をちらちら眺めながら、 椅子に座り続けた。

夕方5時過ぎになり、ベッドに横になることにした。お腹の張り は相変わらず続いていて、もしかしたらそうかも。という希望が さらに強くなってきた。この調子なら明日くらいには生まれるかも しれない!大抵初妊婦は陣痛が10分間隔になってから、15時間くらい かかるというから…明日の昼くらいかも?などと自分で計算してみる。

だんなが帰ってきて様子を見にきたが、あんまり調子は良くないコト を告げ、ベッドから出ようともしなかった。とりあえず中華の注文を… と頼むものを選んで、再びベッドに横になる。7時過ぎに届いた中華 を食べる。途中私が「ぜーぜーはーはー」としているので、だんなが きょとんと「それってもしかして陣痛なの?」と聞く。で、私も、 うーん、たぶんそうなのでは?と応える。とりあえず、ご飯を 食べ終え、再びベッドへ。だんなはツリーの準備があるので忙しく、 私のことを覗きにもこない。痒みとたまに来る鈍痛でどうせ私も 気分は最悪。ほうっておいてくれた方が良かったのだが。

 ついに来た〜!!

夜8時になんとなく違和感を感じ、トイレにいくと…出血。あぁ! これが「おしるし」というものなのだ!!とついに「これが始まり なのだ!」と自分で実感。とにかく出てきてくれれば、痒みとは おさらばだ、とこの時点でもまだ痒みのことばかり考えていた。しかし、 9時、10時と時間が進むにつれて、だんだん痒みのことは気にならなく なってきた。そう。痛みがだんだん強くなってきたのだ。時間を計ると やっぱり一定的ではなく、あるときは10分、あるときは6−7分くらい のような感じだ。助産婦さんに貰ったリーフレットをだんなに持って きてもらい、もう一度内容を確認。5分間隔になって初めて電話できる、 出血が激しければ電話できる、、、などと呟きながら、時々やってくる 痛みを乗り越える。

いろんな人の体験談によると、この10分間隔から5分間隔になるのが やたら時間がかかる、ということである。ということは、やっぱり明日 の朝に連絡してお昼辺りに生まれる、ということなんだろうか?だんなは 相変わらずツリーの準備で忙しく、たまに私の様子を覗きにやって くるのみ。が、私も「まだまだだと思うから…」と応えるだけ。…だが。 11時を過ぎ、痛みが急激に激しくなってきた。時間も計ると、え?4分間隔? だんながツリーの準備を終えてベッドルームにやってくるとすごい声で うなっている私がいて、びっくりしたらしい。しばらく横で様子を見ていた が、11時半過ぎ、ついに私が耐えかねて「痛みが激しいからちょっと 電話して欲しい」と助産婦さんに電話することを頼むと、慌てて下に 行って電話してくれた。

オランダの助産婦さんって、呑気ですぐには来ないって聞いているけど、 すぐにやっぱり来ないのかな…と頭のどこかで考えつつ…なんか、今度は またまた違和感があったような?そう。次には破水も起こってしまったのだ。 普通、おしるしか陣痛か破水のどれかから始まるんじゃないの?ほとんど 時間差がなく3つがいっぺんに起こる人っているのかしら…?などと 考えつつ…ひたすら我慢していると、助産婦さんが思ったよりずいぶん 早く、12時過ぎにやってきた。へー、オランダの人でも夜中にすぐ駆け つけてくれるのね、とこの時期になっても私はオランダ人の呑気さばかり 考えて、けっこう早く来たことに驚いていた。彼女が「今日は痒みのこと で電話があったと他の同僚が言っていたけど、痒みはどうなの?」と聞く。 私は「いや、今は痛みが酷くて痒みのことは忘れました…。」と伝えると、 そうでしょうね、と彼女は頷く(だったら聞くな!って感じよね?)。 夕方からの出来事を話し、「今私が思うことは世の中の女性は皆、この痛みに 耐えてるわけ?信じられない…」と弱音まで告げてしまった。

彼女が、ちょっとチェックするから…と私の状況をチェックする。すると すでに5cmくらい子宮が開いているとのこと!しかも破水でかなり濡れて しまっていた。。。すぐに病院に行きましょう!ということになり、彼女は 病院に連絡。だんなはタクシーを呼んでくれた。こんな痛いのに、 タクシーに乗るのか…やだなあ〜、と思ったが、そんなことを言っている 場合ではない。なんだかすごい急展開だ。それでは病院で再び会いましょう! と助産婦さんと別れ、夜中の1時頃タクシーに乗って病院に向かった。 ラッキーなことにタクシーに乗っている間は一度しか痛みが来ず、 病院についてからも、運転手さんは(慣れているのか)ぱぱっと車椅子 の手配などしてくれ、部屋まで運んでくれた。

 あっという間の出産

部屋に行くと二人の看護婦さんが準備をしていて、助産婦さんが やってくるのを待っていた。私はベッドに横たわり「何が始まる んだろう?」と思いつつ…言われるままにTシャツになって朦朧と 横になる。オランダの分娩室は噂に聞いていたとおり何もなく、 ベッドがあるだけ。なので、私はそこが分娩室だとは思わなかった くらいだ。が、しかし。助産婦さんが来て、もう一度チェック。 さっきからまだ1時間も経っていないのに、もうすでに子宮は全開 になっていて、「とってもいいわよ〜、じゃ、すぐにはじめましょう。」 という。ベッドは日本の分娩ベッドではなく、ほんと、普通のベッド。 助産婦さんは「自分の手で自分の足を支えて!痛みが来たら、 いきんでくださーい!」と言う。えー?自分で自分の足を支える わけ???そういうシステムだったかー。朦朧としているが、 ふーん、などと考えいる自分がいる。そして言われるままに、いきもう とする。つ、つらい…。痛い…。もうだめー。

どうも逃げ腰であまり強くいきめず、助産婦さんに「あなたにしか できないのよ!!」とハッパをかけられてしまった。途中で頭が見えてる わよ、黒い髪だ!とか言われても、初妊婦は15時間…というデータ が頭の中を駆け回っているため、これからいったいどれくらい時間 がかかるわけー?こんなんがずーっと続いたら、私、もうダメだわ…と すっかり弱腰。すると助産婦さんが「あなた次第で20分で赤ちゃんは 出られるんだから!」というので、朦朧としている中でもえー?20分 ???と(うれしくて)びっくりしてしまった。いきんだ後、看護婦 さんが赤ちゃんの心音をチェックするのだが、赤ちゃんは元気。しかし、 病院なのだからすっごい機械でチェックするのかと思いきや、いつもの ハンディーななんちゃって心音チェックを使っているだけ。これって 私でも買えるんじゃないの?大丈夫なのか?まあ、それでもいつもどおり の元気な心音が聞こえているのだから、大丈夫だろう。母親って不思議 でそれはしっかりと聞こえているのね。

「つ、つらいの。私。痛いのよー。もう、だめ。」と日本語で半泣き 状態だが、看護婦さんも何を言っているのか分からず、「うーん。なんて いったのかしら?あなた、日本語は分かるの?」とだんなとおしゃべり したりして…けっこう彼女たちって呑気である(やっぱり)。結局何度 いきんだことだろうか?数えていなかったので分からない。 うーーーーーーーん!といきんだら、最後に赤ちゃんがばーっと 取り上げられて、いきなし私の胸の中に飛び込んできた。すごい泣き声。

このときの感覚って何だろう。感動、というものではなかった。 やっと終わった…といううれしさと、なんだかけっこうしっかりした 赤ちゃんだなあー、という感覚と、朦朧としてなんだかよく分からない、 という感覚と。この世に私の魂がなく、ふうーっとどこかを漂っていた ような感覚だったような…。

 やっと終わった…

だんながへその緒を切り、赤ちゃんはチェックのため看護婦さん と一緒に部屋の隅であれこれ調べられている。だんなは一緒について いって写真を撮ったり、赤ちゃんにミルクをやったり。私は 朦朧とした気分で、助産婦さんに切れてしまったところを縫って もらっていた。赤ちゃんのチェックが終わったら、看護婦さん は小さなベッドに入れて赤ちゃんを私の隣に運んでくれた。 赤ちゃんを見ても、なんというか、「私の子だ!」というような 感覚はなく、こんなものがお腹にずーっといたのか?…と これまた、不思議な感覚。顔は…日本人っぽい?まん丸だけど、 けっこう頭形はまともかも?なんだか指が信じられないくらい 長い気がするけど、気のせい?…など色々思うけど、これが自分の お腹から出てきた、とはやっぱり信じられないような。。。

1時間くらいこの新しい家族でこの分娩室で時間を過ごし、 4時半頃別室の一般病棟に移動。だんなはひとまず帰るように 要請され、私と赤ちゃんが初めて二人で時間を過ごすことに なった。このときもうれしさ一杯!というよりも、むしろ 心細いような。大丈夫なんだろうか?…と。痒みが終わった ことに喜んでいたが、興奮と痛みでとても眠れるわけもなく、 ちょっとうつらうつら、と一瞬しただけ。6時半に赤ちゃんが 泣き出し、看護婦さんに見てもらった後、私もミルクをあげることに。 あっという間に飲み干してしまった。その後、トイレにいったほうが いい、ということで、看護婦さんに手伝ってもらってトイレに 行ったのだが、トイレの便器に座ったとたん気持ちが悪くなり、 意識を失ってしまった。ほんの10秒ほどで戻ったようだが、 その10秒の間に夢を見ていたと思う(何の夢だったかは分から ないが、気分のいいものだったような気がする)。ふっと戻った とき、目の前に看護婦さんの顔があって、私はトイレに座っているの でびっくりしてしまった。そういや、私、トイレで倒れるのって 2回目だな。。。(初めてのときは、日本酒を少し飲んでいて 気分が悪くなったのだった。。。単なる酒酔い…)。

その後は、病院の看護婦さんたちが外でべらべらべーらと しゃべるので、だんだんと不機嫌となり、眠るどころではなかった。 8時過ぎに噂に聞くつまんないチーズとパンの朝食を食べていると… ムムム。また痒くなった気がするんだけどー??腕が痒くなって きたのである。そんなぁ〜…出産が終わったら、痒みはなくなるん じゃないのー?と、悲しくなる。わびしいご飯が終わると、またまた 赤ちゃんが泣き出したので、3度目のミルク。またまたあっという間に 飲み干してしまう。。。看護婦さんが戻ってこないので、仕方なく (ほんと、このときの心境はうれしさで、というよりも、仕方なく、 だったの)赤ちゃんを抱き続けるが、本当にコワゴワ。このときも、 まだやっぱり「感動!!」という感覚ではなく、不思議なイキモノが ここにいる…私なんかが抱いてて大丈夫なんだろうかー?と心細い 感覚。早くだんな、こないかな…。

9時を過ぎても終わらない看護婦たちのおしゃべり。7時からずーっと 続いている。この人たちは暇人なのか?なんなのか??疲れているので なんだか腹が立って仕方が無かった。ヒマならもっと美味しいご飯を 作ってくれよ!とワケの分からんことまで考え出す始末。9時半過ぎに だんながやってきて、私ももう一度トイレにトライ。さっきよりは 少し元気になっているような気がしたけど、歩くのも辛く、、、 ようやくトイレが終わってホッとした。10時に退院といわれたけど、 こんなんで帰れるのかしら?すべての動作がゆっくり、ゆっくり…。 持ってきた洋服に着替え、車椅子に移動。赤ちゃんが乗っている妹に 借りてきたMaxi Cosiをひざに乗せて、だんなが全ての荷物を 持って、、、病院の入り口へ。髪もぼさぼさで、本当にヒドイ カッコだったと思うが、廊下を抜けていくうちにたくさんの人たち が歩いているのが分かり…うわー、、、髪くらい整えておけば良かった、 とちょっと後悔。。。なんかこのとき自分がどっかの宇宙から 現実に帰ってきたと、そんな感覚とでもいおうか。

 そして家に帰る

だんなのお母さんが迎えにきてくれていて、車で家に帰った。家についたらやっぱりホッとした。妹もやってきて、二人で すでに大撮影大会。私はソファに横になっているだけだったが、、、髪を整えたい、ヒドイ顔なんだろうなあ、とそればかり。 そして体の痒みもだんだん広がりつつあるし、痛くて歩けないし。でも。また元のように戻ったお腹を感じると、 今迄大きなお腹をしていたのが信じられないような、そして、その赤ちゃんがそこから出てきたのが信じられないような。 本当に私が産んだ赤ちゃんなの?まだふわふわとしたような気分だった。とにかくすごい半日だった、そう。たった半日 しか経ってないのに、なんだかあまりにも急激に色んなことが起こってしまい、まだ現実とは感じられないような夢事の ようなことだったのだ。

後日、クラームゾルフのお手伝いさんが、「あなた、出産が終わった後、自分がなんだか自分じゃないようなヘンな気分じゃ なかった?」と聞いた。それで、私は「元に戻ったお腹を眺めると、今までの9ヶ月間が嘘のようで、あの赤ちゃんが 本当に自分のお腹から出てきたのかなー、という気分がした」というと、2、3日は感覚がおかしくなる人は多いのよ、と教えてくれた。 (若い人に特に多いらしい…ということは私、若いってコト???)マタニティーブルーのように落ち込んではいなかったが、 どっかふわふわした感覚…こういうのって普通のことなのらしい。それを聞いてちょっと安心した。

これを書いている今は、もうこの日からは3週間も経ってしまった日。人間、痛みってすぐ忘れるっていうけど、ほんと。 痛みのことは忘れてきちゃった。でも。「世の中の女性ってすごい!」こう思ったことだけは忘れない。ほんと。すごいよ!



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