オランダの産院&病院のこと
全て登録制のオランダシステム
さて。今日は出産におけるオランダの産院&病院について書いてみることにしよう。
といっても、「私の経験した」産院&病院なのだが…。オランダの病院は、以前にも少し書いたけれども、
すべて紹介システムになっている。日本からオランダに来た場合、まず最初にハウスアーツ(ドクター)
とタンダーツ(歯医者)を探すことから始まる。全て登録制で、登録されてない人が勝手に行くことは
できない。私はだんなの通っているところに混ぜてもらったので良かったけれど、これが駐在員などで
新しい家族だったりすると、探すのに一苦労。。。どこも「一杯」で断られてしまったりするのだ。
いったんハウスアーツが決まれば、ここから病状に見合った病院を紹介してもらえるので、自分で
病院を探さなくていい、というのはラクチンなんだけど(日本だと、その病状を自分で判断して、
自分で病院を探さなくちゃいけないでしょ)。
というわけで、私も妊娠が発覚してからまずはハウスアーツに行って、そのことを告げ、で。産院を
紹介してもらった。産院はあちこちにたくさんあるので、自分にとって便利なところを希望し、
そこを紹介してもらったんだけれど。
オランダの産院風景
そこの産院は、日本の産院を想像してもらっちゃ困るぜよ、という産院。ある建物の一室を使った
その産院には机が一つ。横になるベッドが一つ。そしてなんちゃってキッチンのような水道が
あるだけ、の殺風景な風景。いったいここで何が出来るわけ?と最初はずいぶんと驚いたものだ。
最初に予約をして、その時間に行くと大抵待ち時間は10分以内で、待っている人も一人か二人。
一体どれだけの人がここの産院に通ってるのかしら?と疑問になる静けさなのだ。私の通っていた
産院は三人の助産婦さんが交代で、この診察を担当していた。最初の診察こそ、血液を採ったり、
(家族のこと、本人の病気のことなど)色々な質問があったりしたが、次からは大抵同じ検診。
すなわち。疑問・質問と最近の様子を聞くこと、尿検査(←家から持参)、体重チェック(←恐ろしく古いタイプの体重計。しかも
靴のまま乗るので、大抵本当の体重より2キロくらい多いいい加減なもの)、血圧チェック、そして
お腹を見て触って、赤ちゃんの心音を聞いて終わり、というもの。日本のように内診はなく、
全部終わって10分くらいで終わり、のあっけないものだ。ただし、オランダ人の同僚曰く、血圧が高かったり、
何か問題があれば、ここからすぐに病院に紹介される、という紹介システムが取られてようなので、
あっけなく終わっても「本当に大丈夫かしら?」と心配する必要はないらしい。。。(本当だろうか?)
で。数回だけ、鉄分チェックがあった。私の場合は鉄分が足りなかったので、タブレットの処方箋も受けた
のだが、次の回で少し回復していたらすぐに処方箋は撤回。一度、バスの中で意識を失ったので
「本当に大丈夫なの?」と心配したのだが、大丈夫だった。良かった。あと、12週目辺りと20週目
辺りにエコーがあった。これは病院に行って別途受けることになっていて、別途病院に予約を入れた。
病院に直接予約を入れることってあんまりないので、大丈夫なのかな?と思ったけれど、すぐに
予約ができたので、そういうシステムになってるんだろう。オランダでのエコーは2回か3回がノーマル
らしい。うちは2回だけだった。あ、でも。1回目のエコーでは、以前にもお伝えしたとおり、浮腫が
あったので即座に別のロッテルダムの専門病院に紹介され、ウルトラエコーと血液検査を受けたんだけど、
これは特別な人だけ(このときのことは別途…のひとりごとをご参照ください)。日本みたいに毎月の
成長を見る、というわけではないので、大丈夫なんだろうか?と思うことは長い妊婦生活の中で多々あり、
だったと思う。
産院は最初は4週間に1回の診察。それが3週間に1回。次に2週間に1回…とだんだんと期間が狭まっていき、
最後は1週間に1回になった。これも何か問題があれば、柔軟に変わるらしく、義妹の場合、最後は
何らかのホルモンの影響で全身が青くなってしまい1週間まったく眠れなくなってしまったため、毎日の
検診になったらしい(そして、最後は力尽き、帝王切開で出産した)。
オランダの産院&病院の連携と出産後のケア
私は最後まで、この産院のシステムについてよくわかっていなかったのだが、実際に出産してようやく
こういうシステムだったのかぁ…と分かった。この三人の助産婦さんは、交代で診察を担当。
そして二人が交代で赤ちゃんの出産立会い、そして産後のケアで家庭訪問をしているのだった。
実は私は病院での出産の立会いはドクターもいるのかと思っていた。しかし、実際は、このいつもお世話になった
助産婦さんの一人と病院の看護婦さんの二人だけ。部屋も病院の部屋といえば、病院の部屋っぽいが
別に特別なものや機械が出てくるわけでもなく、横になるベッドに私は横になっていきむだけ。
足を支えるものさえなく、自分の手で自分の足を押さえる、という、なんつーか、原始的なものであった。
いきむときにこの3人が「プッシュ、プッシュ〜」と声をかけ、だんなは私の頭を支えているだけ。
一応赤ちゃんの心音もチェックするのだが、それはいつも産院で使っていた市販で買えそうな(?)
ハンドユースなシンプルなもの。私が想像していたすごいチェックマシーンなんて全然ないのだ。
というわけで、意識がもうろうと「痛い、痛い…」と思っている中でも、「うーん。これじゃあ、家で出産するのと
変わらんなあ」と思っていたような記憶がある。それくらいオランダの出産はシンプルな
ものだったのだ。。。
無事赤ちゃんが誕生した後、1時間ほどそこで休憩し、その後別のベッドに移って移動。じゃあ、10時に退院
することにしましょう、、、と決まったのが4時頃。だんなが4時半頃一度家に帰り(というか、帰された)、
それから眠ろうとするが、興奮とお腹がたまに痛いので眠れない。。。しかも。部屋は4人部屋で誰もいなかったのだが
7時過ぎからは外で「おはよう」から始まり、看護婦たちのべらべらべらべらべらべらべらべら〜〜〜トークが
延々に続き…うるさくって眠れやしない!!!!!会社でもべらべらしゃべる同僚に閉口したことはあったけど、
病院でもこんなにうるさいとは…初めて知った。これなら自宅出産にすればもっと静かに時間を過ごせたかも、と
ちょっと後悔した私。いや、かなり後悔かも。朝食は8時過ぎに出されたが、これも噂に聞いていたパンと
チーズスライス二枚のみ。うわーん。もっと美味しいものが食べたいよー。。。と痛さと悲しさで涙がちょちょぎれ
そうになったのはこの瞬間だったかも。うーん、食い意地張ってるな。やっぱ、リスちゃんのミルクに対する
執念は私に似たのかも。。。(苦笑)。要するに、病院はヒマらしいのだ。入院している人なんているんだろうか?
よく分からない。日本の病院は、看護婦さんが忙しく走りまわり、たくさんの患者さんが入院していたけれど、
ここはまったくどうなっているんだろうか?他の病室を見て回ったわけではないので、よく分からないが。
帝王切開だと3日間くらい病院に入院するらしいが、そうなっていたら毎日のチーズとパン攻撃、そして
うるさい看護婦たちのおしゃべり攻撃だったと思うと。。。帝王切開でなくて良かった〜(涙)。
出産後、10日間の間に助産婦さんは4回ほど家に訪問しただろうか。1回は退院した次の日で、私の様子を聞きに。
1回は赤ちゃんの様子をささっと見に(黄疸などのチェックらしいが、ほんの一瞬だけのチェック)。そして1回は
私の抜糸と赤ちゃんのかかとから血を採っていくつかの病気をチェックするという「ヒールプリック」チェック
(これは血を採った後、その場で判断されるわけではなく、どこかの機関に送られる)、そして最後の1回は私の問診。
最後の問診のとき、少し助産婦さんとおしゃべりしたのだが、今月は2日に1度くらいの出産でそれ程忙しくないということだった。
忙しい月は1日に3、4人出産するということで、そうなると3人であちこち回って相当大変だ、ということだった。
そりゃそうだろう。お産には色々あるし、時間もどれくらいかかるのか、いつ始まるのか、正確なことは誰も分からない
のだから。夜中に3、4人重なったら…そりゃ、そりゃ、大変なことだろう。呑気な仕事だなあ、と最後まで思っていた
助産婦さんは実はとても忙しかったのだ。勝手に自分で判断しちゃいけない。。。反省。
私の赤ちゃんを取り上げてくれた助産婦さんは、現在双子を妊娠中で来月には産休に入るそうだ。
仕事だとはいえ、真夜中に自分の体だって辛いでしょうに。本当に感謝です。
最後に。赤ちゃんが生まれてから1週間後くらいにハウスアーツから電話があり、赤ちゃんのチェックをするから今から
行きますよ、といわれた。電話があってから15分後くらいに彼はやってきて、一通りの出産の様子を聞き、
そして赤ちゃんの心音や頭、足などをチェックして帰っていった。私とだんなの間に残ったナゾ。
いったい誰がいつどうやって彼に連絡をしたんだ〜?よく分からない。しかし。オランダはすべてがハウスアーツからの
紹介制、と最初に書いたとおり、全てが彼に繋がっているらしい。面白いシステムである。
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