ドールン城 (Huis・Doorn)
このHuis・Doornはドイツの最後の皇帝ヴィルヘルムII世が住んだお城で、ユトレヒトの豊かな森の中の
村ドールンに立っています。
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お城の入場門。そのはるか
向こうにはお城が見える。
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さて、この皇帝ヴィルヘルム2世について少しお話しましょう。
時(とき)は時にとても残酷で、ある人の人生をすべて変えてしまうというけれど、このヴィルヘルム2世
の人生も決して順風平凡な人生ではありませんでした。皇帝という地位にありながら、
第一次世界大戦で敗戦したドイツは、共和国を宣言し、皇帝制は廃止されることになり、
その頃暗殺されたロシアのニコライ皇帝一家のように暗殺・殺害されるのを恐れた彼と彼の妻は、
祖国を後にする決心をします。
ヴィルヘルムII世は大英帝国のヴィクトリア女王の孫のためイギリスの王室、そして友好関係に
あったオランダの王室の助けを借りて、オランダに移住しました。家の家具、食器など
すべてを持ち込んだため、彼を乗せた列車は57両にもなったそうで、その頃の各ヨーロッパの
メディアはこぞって彼を皮肉ったそう。しかし、この大移動により、疲労困憊した彼の妻はオランダに
移住して1年後には死去、その後迎えた2番目の若い妻は、お金だけを目当てに結婚したような
人で、ヴィルヘルムII世は祖国のモノに囲まれた生活をしていても決して幸せではありません
でした。1941年、ドイツがオランダを占領したさなか、ヴィルヘルムII世は崩御されたのですが、
最後に彼が残した言葉は「ドイツに皇帝制が復活したら、私の墓をドイツに移して欲しい」
という言葉だったそうです。もちろん、彼の夢は叶わず、今だ、彼の墓はこの地にあるのです。
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お城は豪華な邸宅といった
感じ。中はとても豪華。
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ヴィルヘルムII世が住んだこのお城、
実はもともと女優オードリー・ヘップバーンの祖母に当たるバロネス・ファン・ヘームストラが
住んでいたところで、彼女から城を購入したそうです。オードリー・ヘップバーンが
オランダ人の血を引いている、ということはなんとなくウル覚えで知っていたけれど、
彼女のおばあ様はこんなお家に住めるお金持ちだったとは・・・!彼女のあの「ローマの休日」
で見せた王女の気品はこんなところから来ているのかもしれないわ、と即座に思いました。
現在HUIS・DOORNはミュージーアムとして一般の方にも内部を公開しています。
中では自由に部屋を見て周ることができますが、主要な部屋にはボランティアのガイドが
いて親切に部屋の様子を教えてくれます。皆、このお城が好きでしかたない様子で(?)
ガイドの説明も熱が入ってます。豪華なテーブルや家具、飾り物、食器まで、ほとんどすべての
ものはドイツから運ばれたものです。私たちにも比較的なじみのあるマイセン陶磁器から
今や世界に稀の傑作家具(どうやら100万ユーロはするそうな)まで、豪華、豪華。。。ため息。
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ちなみに中は撮影禁止。 あれ、これは…?(内緒)
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お昼寝のお部屋やメインベッドルーム、第一番目の妻の部屋、第二番目の妻の部屋、お風呂部屋、
など、豪華な家は見て楽しい。ヘット・ロー宮殿は大きすぎて何が
なんだか分からなくなっちゃいましたが、ここは比較的纏まっていて、良かったです。
さて、Huis・Doornの内部を見た後は、お庭を歩きました。これまた大きな敷地なのですが、
ほとんどの部分は芝生で広々しているだけだったので、ローズガーデンと皇帝が眠る棺が
置いてある小屋を覗きにいきました。ローズガーデンは当たり前ながら、まだまだ成長して
なくて閑散とした感じ。周りにシャクナゲもあったので、5月から6月にかけては
素敵なお庭になることでしょう。小屋は当然カギがかかっていて中に入れるわけではないのですが
窓から覗いちゃいました。結構な人が覗いていて、静かに眠ること、、、できないかもしれない
なあー、なんて。
Huis Doorn (ドールン城)
Langbroekerweg 10, 3941 MT, Doorn
開館時間: 月曜休館 平日・祝日10時−17時 日曜13時-17時
11月から3月中旬までは毎日13時-17時まで。(クリスマス&お正月休み)
公共機関を使っての行き方は:NS駅Driebergen-Zeistからバス50, 51または56番
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